キャリアを切り開く武器、「ポータブルスキル」を徹底的に磨く

自身を守ってくれるのは、人材市場で価値が認められる「スキルや経験・実績だけ」

会社は目の前のビジネスで手いっぱい。社員一人ひとりのキャリアを真剣に考えている企業は本当にまれであると心得ておくひつようがあります。

また、労働組合も給料と雇用にしかほとんど関心がないため、社員のキャリアに対する意識もゼロに近く、キャリアに対する会社への要望を出すことなどありません。しかし、企業は合併、事業別の売却、大量リストラは否応なく行われています。

このように、現実には、もはや終身雇用の大前提が崩れ去っているため、働く社員としては企業の指示だけにおいそれと従うわけにはいかなくなります。この事実を私たちはしっかりと認識する必要があります。もし社外に出ることになれば、自分自身を守ってくれるのは、スキルや経験、実績など、人材市場で認められる自分自身の市場価値だけなのです。

では人材市場で認められる価値とはどのようなものがあるのでしょうか。なかなか簡単には見えないものですが、大きく3つに分解して整理をしていくことで、見えてくると思います。

1．ポータブルスキル

ポータブルスキルとは、特定の会社に依存しない専門的な能力のことです。

例えば商社マンの場合は、貿易の知識、英語をはじめとした語学力、相手国との交渉力、慣例やマーケットなどの必要知識などは、どの企業でも通用するような能力と言えます。

このような能力があれば、海外展開を図りたいという企業からのオファーを得られる可能性が高くなります。転職で最も重要なスキルになるのが、このポータブルスキルです。

2．社内向けスキル

社内向けスキルとは、社内でしか通用しないスキルのことです。例えば、社内独自のカルチャーへの理解、活用範囲が社内に限られた人脈、社内固有の業務や業務プロセスの知識などが社内向けスキルにあたります。

社内では競争力の源泉になっていることもあり、とても有用で価値あるスキルですが、一旦社外に出ると、人脈は幾分役に立つことがあるかもしれませんが、他の社内向けスキルはほとんど役に立たちません。

このスキルだけを中心に持っている方は、転職をする際にかなり厳しい状況に陥ります。

3．会社ブランドによる2次的価値

会社ブランドによる2次的価値とは、勤めていた会社のブランド価値のことです。例えば、ソニーで勤務していた、パナソニックで勤務していたなど、ブランド力のある企業で仕事をしてきたことに対する価値のことです。

このプレミアム分は、会社を辞めても一時的ではありますが、「元ソニー」、「元パナソニック」という形でプラス効果が発生すると言われています。

ただし、このブランド力はあくまでも会社のブランド力であるため、それ相応の技術やスキルなど実力が伴っているかどうか、後々シビアに見られることにもなるため、注意が必要と言えます。

これらのスキルのなかで、最も重要なスキルが、ポータブルスキルです。

現在の会社でも、転職して社外に出る場合でも、仕事内容を選ぶ際には、ポータブルスキルを最大化できる仕事を得られるかどうかという視点で見ていく必要があります。

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